金光教芸備教会のお広前は、大正8年(1919年)5月に完成しました。
木造住宅専門の私がこの空間に入って、あらためて目を奪われたのが天井です。
格天井(ごうてんじょう)

天井一面に木を縦横に組んだ「格天井(ごうてんじょう)」が広がっています。写真で見る以上に、実際にこの下に立つと木の格子がつくる奥行きと密度を感じます。
そして、もう一つ気になることがあります。
柱がない

お広前はおよそ間口7.6m、奥行9.2m。これだけの広さの木造空間を、途中に柱を立てずにつくっています。
現在の木造建築なら、大断面の集成材などを使って大きな空間をつくることは珍しくありません。しかし、この建物が完成したのは1919年。100年以上前です。
では、この天井の上はどうなっているのでしょうか。
見えないところに宿る、100年前の技
室内から見えている美しい格天井は、建物を支える構造そのものではありません。そのさらに上に、この大空間と大きな屋根を支える梁や小屋組が隠れているはずです。
ところが普段、お広前を使っているだけでは、それを見ることはありません。
建築の面白いところは、見えているものの裏側に、建物を成立させている仕組みがあることです。
正面から建物を見ると、大きな入母屋屋根。その手前には銅板葺きの曲線を描く向拝。中に入ると、柱のない大広間と整然とした格天井。
意匠として眺めても美しい建物ですが、建築士として見ると、
「100年以上前の職人たちは、これをどうやってつくったんだろう」
という疑問が次々と出てきます。
次に機会があれば、ぜひ天井裏を見てみたいところです。
大正8年に、この7.6m×9.2mの空間をどんな木組みでつくったのか。
そこには、表から眺めているだけでは分からない芸備教会のもう一つの姿がありそうです。
